〜外部有識者とともに、非必需品(人気高騰商品)への対応や、新たな安心・安全の取り組みを議論〜
株式会社メルカリ(以下、メルカリ)は2025年7月30日および9月5日、メルカリの「マーケットプレイスの基本原則」(以下、基本原則)の運用などについて話し合う、第5回「マーケットプレイスのあり方に関するアドバイザリーボード」を実施しましたので、その概要をお知らせいたします。
このアドバイザリーボードは、「安全であること」「信頼できること」「人道的であること」という3つの原則に関する取り組みを外部の有識者とともに振り返り、より良いマーケットプレイスを築くために何が必要かを考える場で、2021年6月から継続して実施しています。
■「マーケットプレイスのあり方に関するアドバイザリーボード」 参加外部有識者一覧(敬称略)
- 工藤 郁子(大阪大学 社会技術共創研究センター 特任准教授)
- 坂井 豊貴(慶應義塾大学 経済学部 教授)
- さっこ(「メルカリ」ヘビーユーザー/インスタグラマー)
- 西田 宗千佳(フリーライター/ジャーナリスト)
- 山口 真一(国際大学グローバル・コミュニケーション・センター 准教授)
※メルカリからの主な参加者
- 山本 真人(執行役 SVP of Japan Business 兼 株式会社メルペイ取締役 兼 株式会社メルコイン取締役)
- 河野 秀治(執行役 SVP of Management Strategy 兼 CEO Work)
- 迫 俊亮(執行役員 CEO Marketplace)
※参加者の役職は開催日時点のものです。
第5回「マーケットプレイスのあり方に関するアドバイザリーボード」 概要
- 実施日: 2025年7月30日、同年9月5日
- 主な議題:
- 非必需品(人気高騰商品)への対応
- マーケットプレイスの安心・安全に関する取り組み
- その他の出品物への対応についての検証
議事概要
アドバイザリーボードでは、まずメルカリから最近のマーケットプレイス運営での取り組みや出来事を紹介し、その後、外部有識者とともに運営のあり方を評価・議論しました。今回は、主に以下の3つのテーマについて、具体的な商品を例に挙げながら話し合いました。
- 非必需品(人気高騰商品)への対応
- 基本原則では禁止できない必需品以外の商品でも、著しく人気が高騰して手に入りにくい場合などに出品禁止の対応はできるのかなどについて有識者からご意見を伺いました。
出品禁止などの「特別対応」をする場合、それは基本原則の中でどう位置づけられるのかや、どのような基準を満たす場合に「特別対応」を行うことができるかなどについて有識者からご助言を伺いました。
- 基本原則では禁止できない必需品以外の商品でも、著しく人気が高騰して手に入りにくい場合などに出品禁止の対応はできるのかなどについて有識者からご意見を伺いました。
- マーケットプレイスの安心・安全に関する取り組みの評価
- メルカリが新たに進めている、不正利用者を「徹底的に排除」し、お客さまを「徹底的に救済」するための強化策や、「全額補償サポートプログラム」、「透明性レポート」といった取り組みについて、有識者の評価を伺いました。
- その他の出品物への対応の検証
- 2025年8月に出品を禁止した「胎児のエコー写真」を例に、その判断が基本原則と照らしてどのように評価されるかを有識者に伺いました。
各テーマについて、有識者から以下のご意見をいただきました。
1.非必需品(人気高騰商品)への対応
非必需品(人気高騰商品)などの基本原則では禁止できない商品に対し出品禁止などの対応をすること自体に、明確な反対意見はありませんでした。
この「特別対応」と基本原則との関係については、基本原則を変えずに、あくまでルールの「例外」として扱うという考え方についても、反対意見はありませんでした。ただし、あくまで例外的な対応であるため、実施するための基準や社内での検討プロセスを、より明確にしていくべきという点でも一致しました。
【具体的なご意見】
- 基本原則の運用において特定の商品の出品禁止の際には他人に具体的な危害を及ぼすかどうか等を判断基準としているところ、Nintendo Switch 2に対するメルカリの対応はその観点から評価できる。
- 一方で、メルカリ上でのNintendo Switch 2の流通量が総販売台数に対して軽微であったということだが、会社の評判を守るという観点からは、別の対応もあり得たかもしれない。
- 株式市場などでは、価格が急激に変動した際に取引を一時停止する仕組みがある。これを参考に、一時的に出品価格に上限を設ける程度の対応であれば、基本原則の範囲内で、マーケットプレイスとして当然できるのではないか。
- 「特別対応」は、あくまで基本原則の「例外」なので、実施するための基準や社内での検討プロセスは事前に整理し、利用者にも何らかの形で周知しておくべきではないか。
- 経営戦略の一環としての「特別対応」を行う基準として、中期経営計画との整合性を根拠にしてはどうか。ここでは「社会的責任」のような曖昧な言葉を基準にするべきではない。また、SNSでの一時的な盛り上がりだけで判断すべきでもない。
- メルカリの考え方や対応について、より積極的かつ丁寧に、メディアや利用者に説明していくべき。
【その他の主なご意見】
- 基本原則では、「他の人が不快に思うから」という理由で出品を禁止することはない。また、転売については、抽選などに漏れて買えなかったが、非常に高い購買意欲をもつ人が手に入れられるという点では、消費者にとってメリットがあるという見方もできる。
- 基本原則そのものをより深く理解してもらうため、その背景にある考え方をまとめたホワイトペーパーを作成し、公開してはどうか。そうした正確な文書を社内に残すことは、制度を正しく引き継いでいくうえで不可欠ではないか。
- ユーザーがSNSで抱くネガティブな感情の根幹には、転売問題だけでなく、普段サービスを利用する中でトラブルに巻き込まれた際の事務局の対応への不満があるのではないか。
- 利用者がメルカリの取り組みや考え方をより理解できるように、より見つけやすい方法や場所で、分かりやすく情報を伝えていく努力を強化すべきではないか。
2.マーケットプレイスの安心・安全に関する取り組み
メルカリの新たな取り組みは高く評価され、その価値をより積極的に社会や利用者に伝えていくべき、という点で意見が一致しました。
【具体的なご意見】
- 特に「全額補償サポートプログラム」は、お客さまを守るための、他社にはない大変手厚い取り組みだ。この価値をより多くの方に知ってもらえるよう、広く知らせていくべきではないか。
- 「透明性レポート」の公表は評価できる。透明性・信頼性をより高めるために、具体的な件数などの数字を可能な限り公表したり、分かりやすい事例を紹介したりする等の工夫が期待される。
- 「透明性レポート」のような情報発信は一度きりで終わらせず、様々な場所で繰り返し説明し、利用者の目に触れる機会を増やしていくべき。
3.その他の出品物への対応の検証
胎児のエコー写真の出品を禁止したことについて、関係機関に問い合わせても犯罪に使われたという事例の有無についての明確な回答がなかった中で判断が難しかったと思われるなどといった発言がありました。その一方で、生まれてくる子どもの人権などを考えてコンプライアンス上の対応とすることは問題ない、今後は判断するための基準をより定型化していくべき、という点で意見が一致しました。
【具体的なご意見】
- 胎児のエコー写真の出品禁止について、関係機関に問い合わせても犯罪に使われた事例の有無についての明確な回答がなかったということであるが、将来生まれてくる子どもの広義のプライバシーなどを守るため、こうした合法ではあるがトラブルに繋がる疑義が残るものは出品を禁止してよいのではないか。[事務局注:胎児のエコー写真に限らず]このように法律的にグレーな領域においては、企業のコンプライアンス活動として、明確に違法な行為を禁ずるだけでなく、それに準ずるような合法ではあるがトラブルに繋がる疑義が残るものを禁止することは妥当である。
- 「マーケットプレイスの基本原則」は、他人に具体的な危害を及ぼすかどうかを出品禁止の際の主な判断基準としている。そのため、多くの人が単に不快だと感じるかどうかを直接の理由として出品を禁止することには慎重であるべき。
- 今後の対応にブレが出ないように、同様のケースで判断するための基準をより定型化していくべき。
- 関係機関に確認するなど、社内で丁寧に調査や検討を重ねたにもかかわらず、そのことが外からは見えにくく、「世の中の声に押されて決めたのでは」と誤解される心配がある。どのような検討を経て、なぜその結論に至ったのかを、より積極的に知らせていくべき
基本原則の見直しについて
現時点では、「特別対応」実施のために基本原則そのものを見直す必要はない、という点で意見が一致しました。
一方で、今回議論になった「特別対応」の具体的なルールの策定や、安心・安全に関する取り組みの継続的な情報発信については、今後の課題として引き続き検討してまいります。
※「マーケットプレイスの基本原則」の全文・詳細についてはこちらをご覧ください。
URL: http://about.mercari.com/principles/
※過去の「マーケットプレイスのあり方に関するアドバイザリーボード」についてはこちらをご覧ください。
第1回: https://about.mercari.com/press/news/articles/20210720_advisoryboard/
第2回: https://about.mercari.com/press/news/articles/20220422_advisoryboard/
第3回: https://about.mercari.com/press/news/articles/20230407_advisoryboard/
第4回: https://about.mercari.com/press/news/articles/20240724_advisoryboard/