〜外部有識者とともに直近のメルカリのマーケットプレイス運営を検証〜
株式会社メルカリ(以下、メルカリ)は2023年3月14日、メルカリの「マーケットプレイスの基本原則」(以下、基本原則)の運用を検証する第3回「マーケットプレイスのあり方に関するアドバイザリーボード」を実施いたしましたので議事概要と併せてお知らせいたします。
「マーケットプレイスのあり方に関するアドバイザリーボード」は、「安全であること」、「信頼できること」、「人道的であること」という3つの基本原則に関する取り組みについて外部有識者と振り返ることを通じ、よりよいマーケットプレイスの構築に必要なアクションを検討することを目的に、2021年6月より継続的に実施しております。
■「マーケットプレイスのあり方に関するアドバイザリーボード」 参加外部有識者一覧(敬称略)
- 磯貝友紀(PwCサステナビリティ合同会社 パートナー)
- 梅津光弘(慶應義塾大学・大学院商学研究科 教授)
- 大木良子(法政大学 経営学部 教授)
- 軍地彩弓(編集者/ファッション・クリエイティブ・ディレクター)
- 坂井豊貴(慶應義塾大学 経済学部 教授)
- ハヤカワ五味(株式会社ウツワ代表取締役)
- 山口真一(国際大学グローバル・コミュニケーション・センター 准教授)
※メルカリからの参加者
- 長利 一心(株式会社メルカリ 執行役員 COO Marketplace)
- 篠原 孝明(株式会社メルカリ 執行役員 VP of Trust and Safety Japan Region)
メルカリは、今後も基本原則に基づき、誰もが安心して参加できる、多様で自由なマーケットプレイスを目指してまいります。
※参加者の役職は開催日時点のものです。
※マーケットプレイスの基本原則」の全文・詳細についてはこちらをご覧ください。
URL: http://about.mercari.com/principles/
※過去の「マーケットプレイスのあり方に関するアドバイザリーボード」についてはこちらをご覧ください。
第1回: https://about.mercari.com/press/news/articles/20210720_advisoryboard/
第2回: https://about.mercari.com/press/news/articles/20220422_advisoryboard/
■「マーケットプレイスのあり方に関するアドバイザリーボード」 第3回 概要
- 実施日:2023年3月14日
- 議題:
- マーケットプレイスの運営の振り返りと評価
- より良いマーケットプレイスの構築に向けたアクション
- 基本原則の見直し
■ 議事概要
アドバイザリーボードでは、メルカリ側からマーケットプレイス運営に関わる最新の内部組織体制を紹介した後、外部有識者とともにマーケットプレイスの運営のあり方を評価・議論しました。今回は、「より良いマーケットプレイスの構築に向けたアクション」の議論で以下の3つを論点とし、それぞれの論点に関連する取り組みを中心に振り返りました。
1.政策的意図がある政府・自治体の支給品の出品の捉え方について
行政が発行するクーポン券や、特定の対象者向けに配布された食品等
2.規約違反が疑われる場合に運営者として求められる対応について
禁止出品物や禁止行為であることが確定しないものの、疑いの要素がある場合に、マーケットの運営者としてどのような対応をすべきか
お客さまに対してどのように対応すべきか
3.「取引を通じて、人道に反するような行為が助長される」と判断する基準について
各論点に関して、有識者から以下の議論がありました。
1.政策的意図がある政府・自治体の支給品の出品の捉え方について
- 政策的意図がある政府・自治体の支給品の出品について、負の外部性が発生しているとは考え難く、基本原則から逸脱するものではないという意見で概ね一致しました。
- 具体的には以下の意見が出されました。
- 支給者や発行者の「政策的意図」を考慮して出品の是非を判断するのは、現在の基本原則の内容や策定した経緯に照らし合わせると、適切ではない。危害原理に基づき、負の外部性が発生するかどうかを判断基準にすると、基本原則を逸脱しているものではない。
- 必要な人に必要な形で支給品が届かなかったため、必要でないものを受け取った人が、ニーズのある人に財を渡して対価を得たともいえる。そうした価値をメルカリが提供している面がある。
- そのほか以下の意見が出されました。
- 対象や使い方を厳格に限定したい意図があるのであれば、発行側において、テクノロジーの活用や配布管理などの工夫を行うことが考えられる。
- 必要な人に届けるという政策的意図が達成できるよう、メルカリから行政にアプローチをして現場の声を届けることで、政策形成をサポートするという社会的によい影響を与えられるのではないか。
2.規約違反が疑われる場合に運営者として求められる対応について
- 規約違反にあたる場合には毅然とした対応を行うべきであるが、明確ではない場合には、基本原則に照らして制限をする理由がないという意見で概ね一致しました。
- 具体的には以下のような意見が出されました。
- 禁止行為への抵触などの規約違反に対しては毅然と対応すべきであるが、明らかに法律違反など明確な理由がない限りは、制限する合理的な理由はないのではないか。
- メルカリがお客さまに対してきちんと対応する仕組みづくり、また、トラブルが起きてしまった場合にはメルカリが対応することをお客さまによく示すことが信用を守る上で大事である。
- そのほか以下の意見が出されました。
- マーケットプレイスの運用の議論をする上では、できるだけ意図を推察したり悪意の有無に頼らないロジックをつくる方が運用しやすい。危害原理など、基本原則の議論を行った際の考え方を活用いただくと判断しやすいと思う。
- 一方で、人間には意図や悪意があり、基本原則の「信頼」や「人道」と照らしても、インターナルな要因や他者への危害だけではない要素がどうしても関わってくるのではないか。
3.「取引を通じて、人道に反するような行為が助長される」と判断する基準について
- 基本原則に照らして考える際に、不快原理(主観的に、ある人が不快と思うこと)ではなく危害原理(生命・身体への被害)によって明確な被害者が生まれるかを考えるべきであるという意見で概ね一致しました。
- 具体的には以下のような意見が出されました。
- 不快である、気持ち悪いといった時代や背景などで大きく変わる感情を入れて不快原理で物事を判断することは危険と感じる。メルカリへの出品・取引により、危害原理における具体的な被害者と呼びうる存在が生まれるのであれば基本原則を逸脱するとみなすべき。
- 一定の年齢層や趣味嗜好を持った方を対象とする出品物について、本当に欲しいと思っている人がいてマーケットが成り立つのであれば、不特定多数の人を対象とするのではなく、適切な区別を作ったうえで取引の場を提供することはよいことではないか。
- 多様で自由なマーケットプレイスの実現に向けて基本原則を策定しており、そこにメルカリの魅力もある。出品されている物の態様が不快であるなど、自由を抑圧するような批判があったときには、自由の擁護者であることを打ち出していくべきではないか。
- そのほか以下の意見が出されました。
- 最終的な判断は、メルカリがどういうコミュニティを創りたいかに帰結する。お客さまを守りたいという観点、メルカリのコミュニティを創りたいという観点からまとめていくと、メルカリの姿勢を示すことができる。
- コメントの通報機能などで、通報・対応した人をより良い参加者として称えるような仕組みにより、コミュニティの規範を醸成するようなことも考えられる。
基本原則の見直しについて
- 現時点では基本原則そのものの見直しまでは不要との意見で一致しました。
- 多様で自由なマーケットプレイスの実現に向け、基本原則に則った各種ルールの再整理については、個別の課題として検討していきます。