フリマアプリ「メルカリ」を運営する株式会社メルカリ(以下、メルカリ)は、第四回「マーケットプレイスのあり方に関する有識者会議」(座長:慶應義塾大学・大学院商学研究科 准教授/ケンブリッジ大学訪問教授 梅津光弘氏)を2020年11月10日に開催いたしましたので、その概要を公開いたします。
なお、本有識者会議は新たに追加会議の開催が決定しており、最終的なPrinciples(原理・原則)の公開時期については決まり次第お知らせします。
■「マーケットプレイスのあり方に関する有識者会議」第四回 概要
- 日時:2020年11月10日(月)16:00~18:00
- 場所:株式会社メルカリ 東京オフィス会議室およびオンライン
- 議題:
- 転売に関する意識調査の結果報告/質疑応答
- Principles改定案説明と残論点に関する議論
- Principlesに基づくケーススタディ
- 今後のスケジュール
- 出席者:
- 梅津光弘委員(座長/慶應義塾大学・大学院商学研究科 准教授/ケンブリッジ大学訪問教授)
- 磯貝友紀委員(PwC Japanグループ サステナビリティ・センター・オブ・エクセレンス テクニカル・リード/ PwCあらた有限責任監査法人 パートナー)
- 大木良子委員(法政大学 経営学部 教授)
- 軍地彩弓委員(編集者/ファッション・クリエイティブ・ディレクター)
- 坂井豊貴委員(慶應義塾大学 経済学部 教授)
- ハヤカワ五味委員(株式会社ウツワ代表取締役)
- 山口真一委員(国際大学グローバル・コミュニケーション・センター 准教授)
- 田面木宏尚委員(株式会社メルカリ上級執行役員 メルカリジャパン CEO)
※委員プロフィール等詳細はこちらをご覧ください。
※これまでの「マーケットプレイスのあり方に関する有識者会議」議事概要は以下をご覧ください。
■ 議事概要
- 山口委員から、「転売に関する調査研究」の結果について報告があり、調査結果をどのように理解すべきか、Principlesにどう反映するかなどについて委員間で議論があった。
- 事務局から、事前配布された「Principles(原理・原則、以下Principles)草案」の修正案を提示し、有識者会議メンバーで自由討議を行った。なお、事務局が提示した改定案および論点は以下のとおり。
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- 「倫理性・人道性についての考え方」
- 「緊急時における必需品の対応方針」
- 「異例の事態への対応方針」
【議事サマリ】
1)「倫理性・人道性」についての考え方
- 「倫理性・人道性」という言葉をPrinciples内で使うことそのものに関して、賛否双方の意見が示された。
- 「倫理性・人道性」という言葉をPrinciples内に残すべき
- 原則の中で、法令を守るという前提があることについて触れるべき。その上でこの項目は、法律以外の規範もあるということをメルカリが視野に入れていることを示すものと理解。
- Principlesは価値判断。価値判断を経営者が示すことで集団やマーケットを規制していくのが現代のやり方。その中でRule baseからPrinciple baseの規制が20世紀後半以降の世界的潮流となっていることをメルカリが意識していると示すものとして、この項目は重要。
- 他方で、「倫理性・人道性」は議論を呼ぶ言葉。議論に対してメルカリがどこまで答えられるかを考慮し、この項目を入れるか否か検討すべき。
- 再考すべき
- 社会的な善悪に関する表現は、その判断の理屈が詰められておらず避けるべき。
- 人の価値観によって左右されることをPrinciplesに入れることは避けるべき。
- 多様性の時代においては、倫理性・人道性という言葉には幅がある。グレーゾーンの線引きの議論を惹起する。
- 運用に当たり、メルカリ側で倫理とは何かを改めて整理しなければならなくなる。
- 「倫理性・人道性」の意図するところが何であるかは、そのままではわかりにくく、用語を変えるか他の項目にまとめるべきではないか。
- わかりにくいものの、健全性や公平・公正といった言葉に置き換えるのは不適当。
- 安心・安全の項目にまとめても良いのではないか。
- メルカリがルールを作る為政者であるかのように映らないよう、言葉を和らげた方が良い。
- 社会的な善悪に関する表現は、その判断の理屈が詰められておらず避けるべき。
- 「倫理性・人道性」という言葉をPrinciples内に残すべき
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- また、Principlesとともに、過去に規制したものの事例を示すことについて、次の指摘があった。
- Principlesは抽象的な言葉になるため、わかりにくさがつきまとう。例示することで、そのわかりにくさの解消に資する。
- わかりにくさの解消のために事例を示しても、「これは違うのか?」という議論は起こる。そうしたリスクを管理する究極的な手立ては「立派な会社」になることであり、ネガティブ面に関する情報発信だけでなくメルカリのポジティブな面に関する情報発信も必要。何が良いことなのかも議論が必要な段階だろう。
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2)「緊急時における必需品の対応方針」について
- 緊急時における必需品の対応方針について、「正の外部性が働く財」であるかという判断要素を追加することに異論はなかった。
- ただし、「正の外部性が働く財」という表現をわかりやすくするため、「そのときの社会情勢のなかで、早急にエンドユーザーに届くことが求められる財」といった表現が委員から提案された。
3)「異例の事態への対応方針」について
- Principlesに照らした上で、企業がレピュテーションリスクを考慮して緊急的な対応を実施すること、またそれをPrinciplesに記載するかどうかは、メルカリの判断にゆだねて良いのではないか、という意見があった。
- 他方、コンプライアンスの観点では経営者が柔軟に動ける場合を明示するよう、緊急的な条項となるものを明記すべきという考え方もあるとの指摘もなされた。
- なお、論点2)に関連しない商品の高額での取引に対する規制については、慎重な意見があった。
■ 今後のスケジュール
- 追加会議の開催(11月下旬を予定)
- 本日の議論を踏まえ、Principlesを再度ブラッシュアップすることとなった。
- その後メルカリ社内で最終化に向けて、議論を行う。
- 最終的なPrinciples(原理・原則)の公開時期については決まり次第お知らせします。
以上