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2020.9.17

メルカリ、「マーケットプレイスのあり方に関する有識者会議」 第二回議事概要を公開

フリマアプリ「メルカリ」を運営する株式会社メルカリ(以下、メルカリ)は、第二回「マーケットプレイスのあり方に関する有識者会議」(座長:慶應義塾大学・大学院商学研究科 准教授/ケンブリッジ大学訪問教授 梅津光弘氏)を2020年9月3日に開催いたしましたので、その概要を公開いたします。

■「マーケットプレイスのあり方に関する有識者会議」第二回 概要

  • 日時:2020年9月3日(木)12:00~14:00
  • 場所:株式会社メルカリ 東京オフィス会議室およびオンライン
  • 議題:
    1. 定量調査実施に関する議論
    2. 第一回の議論を踏まえた論点の共有
    3. 上記論点について、自由討議
  •  出席者:
    • 梅津光弘委員(座長/慶應義塾大学・大学院商学研究科 准教授/ケンブリッジ大学訪問教授)
    • 磯貝友紀委員(PwC Japanグループ サステナビリティ・センター・オブ・エクセレンス テクニカル・リード/ PwCあらた有限責任監査法人 パートナー)
    • 大木良子委員(法政大学 経営学部 教授)
    • 軍地彩弓委員(編集者/ファッション・クリエイティブ・ディレクター)
    • 坂井豊貴委員(慶應義塾大学 経済学部 教授)
    • ハヤカワ五味委員(株式会社ウツワ代表取締役)
    • 山口真一委員(国際大学グローバル・コミュニケーション・センター 准教授)
    • 田面木宏尚委員(株式会社メルカリ 取締役 メルカリジャパンCEO)

※各有識者メンバーのプロフィールにつきましては、こちらの資料でご紹介しております。
※「マーケットプレイスのあり方に関する有識者会議」第一回議事概要はこちらをご覧ください。

■議事概要

  • 有識者会議運営事務局(以下、事務局)及び山口委員から、「転売に関する調査研究案」について説明があり、調査内容について議論を行った。本調査では、転売に関する定量調査を実施し、調査結果を本有識者会議におけるPrinciplesの策定等の参考データとして活用する(主な調査内容は次のとおり)。
    • 二次流通市場と一次流通市場の関係分析(一次流通の価格取引量と二次流通での価格取引量の実態を可視化) 
    • 消費者心情に影響を与える要素の実証分析 (消費者が転売に対してどのような不満をいだいているかを可視化) 
    • 外部性の消費者評価分析 (外部性を消費者がどのように評価しているか、不満感の関係性)
  • 次に、「第一回の議論を踏まえた論点」を事務局から説明し、当該論点について議論を行った(提示した論点は次のとおり)。
    • マーケットプレイスの設計・運営にあたってのPrinciples(原理・原則)策定において前提となる考え方
    • 制限すべき取引に関する判断軸について
    • 各ケースにおいて、メルカリはPurpose(目的)に照らして、どの様に対応するべきか

【議事サマリ】

  • 転売に関する調査研究案について:
    • 調査研究案の方向性についての異論は無かった。他方、調査時に留意する点として、以下の指摘があったため、反映できる部分については調査に反映することとなった。
      • 周囲に聞くと、転売に対して、暴利を貪っている人がいるのではないかということに対するルサンチマンが消費者心理に起こっている可能性がある一方、実際にメルカリを使っている人達にとって、「そんなものは買わなければいい」「高額で出品されるのは当たり前」「何をマスコミが問題視するんだろう」という意識もあるようだ。
      • (山口委員のSNSを対象としたネット炎上の研究では、ネット炎上に参加するインターネットユーザーは全体のごく一部であるという結論であったが)転売を不満に思う人がいるといった時に、全体の中でどの程度の人が不満に思っているのかという分析も入れていただけると良いのではないか。
        • 今回の調査により、まず不満に思う人がどのくらいいるのかが分かり、実は本当にものすごく不満に思っている人は多くないということも分かるかもしれない。
        • これらの点について、「ネットに書き込ましたか?」という質問を追加しても面白いかもしれない。
        • この転売問題をどこで知ったかということを聞いてみても良いだろう。
    • 実際のユーザーと非ユーザーとのメルカリに対する印象のギャップも気になる点。
        • メルカリ、あるいはフリマアプリの利用有無によっての印象の違いは調べたい。
    • ユーザーの不満について調査するにあたり、人が不満を持つことと、それが正当なものだと思うことは異なる。自分が不満を持っているかということに加えて、「その不満は社会で尊重されるべきだ/正当だと思っているか」ということを質問できるのであれば面白い。
    • アイテムによっても一次流通と二次流通での価格差の意味が異なる。(ただし、今回の調査は転売が悪だと問題視され、法律での規制対象となったようなものを対象とし、そうしたものの転売の実態を調査することに主眼を置くこととする)
  • 論点に関するディスカッション:
    • マーケットプレイスの設計・運営にあたってのPrinciples(原理・原則)策定において前提となる考え方や、制限すべき取引に関する判断軸、および判断軸におけるそれぞれの分岐点の定義/判断基準について、メルカリが提示したフローチャート図(出品物に対し、規制を行うべきかを判断するためのチェックが行えるもの。以下、「判断チャート」)を用いながら議論を行った。判断チャートの主な項目は以下のとおり。
      • その取引が合法であるか
      • 需給の状況(価格は安定しているか)
      • 他者に危害を与えるかどうか
      • 必需品かどうか

 

  • マーケットプレイス上の取引に伴う「外部性」について
    • 判断軸に外部性の項目が入っていない点を指摘する意見が複数あった。
    • 外部性を考える場合でも、この外部性の問題自体の解消にメルカリが対応するかどうかというより、メルカリが取引を認めることで、外部性に伴う悪影響が拡大しているのかどうかを考えるべきという指摘があった。
    • 例えばマスクの転売について、メルカリ内で「自分が買いたい価格で買えるのがマーケットの一番のメリットだが、生命・身体の保護に関わるものを価格で差別する(マスクのような物資について需給が逼迫し、価格が高騰していくことで買える人が限られるような状態がつくられる)ことは望ましくないのではないか」との議論があったことに対して、以下の意見があった。
      • 少なくともPrinciples(原理・原則)を策定する段階では、「望ましくない」といった感情論で整理するのではなく、整理できるところまでは論理的に整理すべきではないか。例えば、「(マスクのように)正の外部性を世の中で発揮してほしい財について、メルカリを経由することで迅速に社会に配分されず、正の外部性が発揮されなくなるので規制する」という整理をすれば、原則に則り規制できるのではないか。
      • 他方、倫理学的観点では、人は相当感情的で不合理な行動を取ることから、論理的にを突き詰めて規制するだけでなく、感情面を考慮することも必要ではないか。
  • 危害原理・不快原理について
    • 危害原理ではなく、不快原理を採用する際、どう計るのか、どのような主体にとっての不快を考慮するのがよいのかについて、判断が難しいとの意見が複数あり、そのことについて以下の意見があった。
      • 危害については、大雑把に言うと生命・身体への危害を念頭に考えることでいいのではないか。一方で、不快は、エモーショナルな、主観的なもので、人によってバラつきのある概念。
      • 不快の主体については、個人の感じる不快を全て取り込んでいては際限がなくなるため、主体は「社会」ではないか(社会的に尊重されるべきと考えられる水準の不快感情に限定すべきではないか)。また、これらの主体を設定したとして、その対外的な伝え方を工夫することが重要。
      • なお、不快原理について、「非常に不愉快な取引が行われており、それを許容しているメルカリも気に入らない」となる事態は、メルカリとしても避けたいと考えているだろうが、そのために「不愉快」の実態をデータから見極める必要がある。 
  • 判断チャートの階層構造について
    • 判断チャートの階層構造について、第2階層に必需品か否か、第3階層に需給の逼迫を確認するという構造でメルカリから提示したところ、以下のようにさまざまな意見が出されたため、事務局で再度、案を作成して委員に諮ることとなった。
      • 必需品か否かの判断は主観的であるのに比べて、需給逼迫やそれを示唆する価格の変動はより客観的に把握可能であり、必需品か否かの判断より上位の階層に置くべきではないか。
      • 需給の逼迫が、必需品か否かの判断に先立つほうがわかりやすい。その理由は、例えば必需品であったとしても、価格が安定し供給が十分だったら問題視する人はさほどいないが、例えば、ウォンツに属するものであっても市場価格が高騰しているなかで、メルカリで高額取引が行われていたら消費者感情は悪化すると考えられるからである。
      • 不快原理と危害原理を、現状の判断チャート案のとおりの階層に置くことには、違和感がある。
      • 第三階層の書き方がニーズに関する需給のこと、ウォンツに関して不快か危害かという二択になっているのが分かりづらい。階層を変えれば良いのかもしれないが、ニーズに属するものについても、危害原理の適用を検討することはあり得る。階層の仕組みを変えたらわかりやすいのでは。需給安定と逼迫の双方のケースにおいて、不快・危害原理の適用があり得る。
        • なお、「需給逼迫」という表現を使うのは適切ではないのではないか。需給を均衡させるはずの価格に比して、実現している市場価格が過度に安くなっている状態と捉えるべきである。
        • ツリー構造で階層に分けると、ある基準が別の基準より上位にあることとなるが、そうしなくてもチェック項目として並列に捉えればよいのではないか。
  • 判断チャートへの当てはめについて
    • 判断チャートの各基準に照らした判断の難しさについて以下の意見があった。
      • 必需品かどうかは、社会の状況や人の心によって変化するため、その判断はとても難しい。
      • 必需品かどうかの線引が難しいのは確かだが、その線引きが社会状況や人々の選好によって変化しうるということをあらかじめ認識として織り込んでおけばよいだけではないか。
      • 必需品かどうかの線引きだけでなく、危害原理においても、どこから先に適用するか(何を考慮すべき危害とみなすか)は線引きが難しい。
      • 不快原理、危害原理に当てはまるか否かの判断を誰が、どのタイミングでするのかも考慮する必要がある。
  • マーケットプレイスの設計・運営にあたってのPrinciples(原理・原則)を機能させる仕組みについて
    • Principlesを実装する仕組みの必要性について委員から言及があった。
      • 特に、原理・原則は大まかな判断を行うものであって、個別具体的な事例への判断のためには、例えば5人委員会のようなプロセスを設けて多数決を取る事が考えられる。
      • こうした手続を決めておくことで、判断できない問題の解決につながるだろう。
      • 仮に委員会を設置した場合、委員会を開催するタイミングは、例えば社会的な批判の状況を踏まえて経営判断でなされるのではないか。
        • しかし、批判が高まる前に何らかのシグナルを捉えて動くことが重要ではないか。
  • ほか、サービス設計の観点で、以下の意見があった。
    • オークションサイトやフリマアプリでは、気軽に出品でき、アカウントも作り直せるので、短期的に販売することに焦点を当てる事が起こる。これに対して店舗では中長期の信頼が重要であり、需要が高まり供給が少なくなってもいきなり値段を上げることはない。オークションサイトやフリマアプリも中長期の信用を考慮したサービス設計となっていくと、急な値上げなどが自然に食い止められるのでは。

■次回に向けて

  • 第二回の議論のまとめとして、次のコメントがあった。
    • 規制の判断チャートができつつあることは良いことだろう。それぞれの基準をどうするのかを今後詰めていくことになるだろう。
    • 「外部性」を前面に打ち出すべき。
      • 原則に当てはめたときに、一般の方がなぜ規制されたのか理解できるような言葉でまとめることも重要。
      • ユーザーが納得しやすい形に落とし込めると良い。
      • 外部性については、どの外部性が良いのか/悪いのか、どの程度なら良いのか/悪いのか、という議論になる。その線引きが危害の有無であり、その表現がわかりやすいのではないか。
    • 原則は大まかにものを決めるものであり、細かなことはプラクティカルに多数決で決めたり、損得で決める仕組みを作るのが良いだろう。
    • (今回提示された)判断のチャートにはメルカリの損得勘定が現れていない。市場としての機能を高め、多くの方が信頼を持ち市場に入るためにどうするかということを考えた上でのチャートであると伝わると良い。

以上

■【参考】今後の活動スケジュールについて

  • 第三回 9月末頃(予定)
    • テーマ:原則案の提示、議論