「自らの持ち物は現金化しやすい」、Z世代の51.5%が回答
バブル世代と比べて約2.8倍高い傾向
Z世代の約2人に1人が“家にある自分の持ち物を売ることを想定して”お買い物を経験
〜売ることを想定し、購入する商品は「アパレル」と「推し活グッズ」が最多〜
メルカリ総合研究所(運営:メルカリ)は、慶應義塾大学 商学部 山本 晶教授監修の下、18歳から69歳の1,030名を対象に「世代別の消費行動・資産認識」に関する調査を実施いたしました。
2023年7月、フリマアプリ「メルカリ」はサービス開始から10周年を迎えました。その間、経済産業省によると※1、2021年の個人間EC(CtoC-EC)の推定市場規模が2兆2,121億円(前年比12.9%上昇)となり、同調査開始以来初めて2兆円を超えるなど、個人間取引の市場は継続的に成長しています。
また、過去に実施した「フリマアプリ利用者と非利用者の消費行動」に関する意識調査※2からは、「リセールバリューを意識して購入する」など、普段のお買い物の意識にも変化をおよぼしていることがわかっています。
これまでメルカリ総合研究所では、フリマアプリの登場による消費行動の“変化”に焦点を当てた調査を実施してきました。本調査は、フリマアプリを含むさまざまなインターネットサービスを当たり前に利用する環境に育ったZ世代(18歳〜24歳)に焦点を当てています。「デジタルネイティブ」と言われるZ世代には、他世代にはない消費行動や意識が存在する可能性の検証を目的に「世代別の消費行動・資産認識」に関する調査を実施いたしました。
※1:経済産業省「令和3年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」(2022年8月)https://www.meti.go.jp/press/2022/08/20220812005/20220812005.html
※2:メルカリ総合研究所「『2022年度フリマアプリ利用者と非利用者の消費行動』に関する意識調査」(2022年8月)https://about.mercari.com/press/news/articles/20220816_consumersurvey/
結果サマリー
Z・ミレニアル・バブル世代別 フリマアプリ利用傾向
- 本調査におけるフリマアプリ利用率は56.6%
世代別にみると、Z世代が64.1%、ミレニアル世代が60.2%、バブル世代が51.6% - フリマアプリ利用者の52.4%が「新品購入時にリセールバリューを考える」と回答
世代別にみると、Z世代が最も高い59.1% - フリマアプリの出品理由は「使わなくなったので、欲しいと思う人に使ってもらいたいから」が最多の64.3%
世代別にみると、Z世代は「売ったお金で欲しいモノを購入するため」が最多の62.9%
世代別にみる、所有意識や消費行動の違い
- バブル世代(18.6%)の約2.8倍となる51.5%のZ世代が「自らの持ち物は現金化しやすい」と回答
- 38.8%が「持ち物を売ってから、欲しいモノを買う経験がある」と回答
世代別にみると、ミレニアル世代が最も高い48.1% - 25.9%が「持ち物を売れば買えるという想定で、売る前に欲しいモノを買う経験がある」と回答
世代別にみると、Z世代が最も高い42.7% - Z世代が「売ってから買う」または「持ち物を売る想定で、売る前に買う」モノは「アパレル」と「アイドル/アーティスト/キャラクター等の推し活関連商品」が同率1位
Z世代の資産認識
- Z世代が“資産”としてみているモノTOP3は、1位「金融商品」2位「ゴールド・宝石」3位「不動産」
他の世代と比べてZ世代が“資産”としてみている傾向が強いモノTOP3は、1位「暗号資産」2位「アクセサリー」3位「靴・スニーカー」
調査概要
調査時期:2023年7月11日~2023年7月12日
調査方法:インターネット調査
調査対象:全国、18〜69歳、男女1,030名
留意事項:
本リリースに記載されている各世代の年齢構成は以下のように定義しています。
・Z世代 18〜24歳(103名)
・ミレニアル世代 28歳〜43歳(327名)
・バブル世代 54〜58歳(97名)
※グラフ内の数値は小数点第二位以下四捨五入
調査コメント:慶應義塾大学 商学部 教授 山本 晶氏
プロフィール
慶應義塾大学法学部政治学科卒業。東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。博士(経済学)。東京大学大学院、成蹊大学、慶應義塾大学大学院経営管理研究科を経て2023年より現職。主な著書に『キーパーソン・マーケティング: なぜ、あの人のクチコミは影響力があるのか』東洋経済新報社、『コア・テキストマーケティング』新世社など。 主に消費者間相互作用の研究に従事。日本マーケティング学会(常任理事)、日本マーケティング・サイエンス学会(研究委員、編集委員)、日本消費者行動研究学会、日本商業学会、INFORMS、ACRの各会員。
コメント
フリマアプリの登場により、自分が保有する余剰資源を売るという行為が広く普及するようになりました。今回の調査では4割の消費者が所有するモノを売ることを前提に買う経験があると回答しています。消費者が所有するモノの売却益を前提にモノを購入する行為は、自動車や住宅といった製品カテゴリーにおいては一般的な行動でした。今回、スニーカーやアクセサリなど、身の回りの日用品にもそうした行動が広がっているという点が、消費者行動として新しいといえます。
売ることを前提に買う、所有するモノを資産と捉えて購買を行うという新しい消費者行動は、デジタルネイティブかつフリマアプリネイティブともいえるZ世代を中心に顕著にあらわれています。限られた資金の中で所有するモノを売りながらアパレルや推し活関連グッズなどの様々なモノの消費を楽しむ様子が伺えます。
今回の調査結果は、自分の所有しているモノをそれがたとえ消耗品であっても資産としてみる消費者が一部登場しているということを示しています。従来、消費者の購買行動の予算は「現金」が前提でした。消費者の頭のなかの財布には、現金、預貯金などのいわゆる「お金」が入っていたと考えられます。人によっては株や投信も含まれるでしょう。今回の調査の結果は、金融資産だけでなく所有するモノも含めて資産と捉え、予算を決める消費者がまだ少数ながら登場したことを意味しています。
これまで所有物が資産として見られていなかったのは、所有物が資産として流動性が低かったためと考えられます。フリマアプリやオンライン買取などの登場と普及は、所有物を売却することを簡便化し、結果として資産としての流動性を高めていると考えられます。
調査結果詳細
Z・ミレニアル・バブル世代別 フリマアプリ利用傾向
本調査におけるフリマアプリ利用率は56.6%
世代別にみると、Z世代が64.1%、ミレニアル世代が60.2%、バブル世代が51.6%
フリマアプリ利用経験の有無を質問したところ、「主に購入で利用」が17.6%、「主に出品/販売で利用」10.2%、「出品/販売・購入両方で利用」が14.3%、「見るのみで利用」が14.5%、合計で56.6%が「フリマアプリを利用したことがある」と回答しました。世代別にみると、Z世代は64.1%、ミレニアル世代は60.2%、バブル世代は51.6%がフリマアプリを利用したことがあると回答しました。
フリマアプリ利用者の52.4%が「新品購入時にリセールバリューを考える」と回答
世代別にみると、Z世代が最も高い59.1%
利用者582名に対し、新品購入時にリセールバリューを考える経験を質問したところ、「よくある」が10.5%、「たまにある」が41.9%、合計で52.4%がリセールバリューを考えると回答しました。また、世代別ではZ世代が合計59.1%、ミレニアル世代が合計56.4%、バブル世代が合計52.0%となり、Z世代が最もリセールバリューを考える傾向にあります。
フリマアプリの出品理由は「使わなくなったので、欲しいと思う人に使ってもらいたいから」が最多の64.3%
世代別にみると、Z世代は「売ったお金で欲しいモノを購入するため」が最多の62.9%
フリマアプリに出品する理由TOP3は、1位「使わなくなったので、欲しいと思う人に使ってもらいたいから」(64.3%)2位「売ったお金で欲しいモノを購入するため」(48.0%)3位「無駄なモノを持ちたくない、持ち物を減らしたいから」(42.5%)となりました。
世代別にみると、Z世代では「売ったお金で欲しいモノを購入するため」が62.9%で最も多く、n数の偏りがある前提ですが、バブル世代と比べて約2倍になる結果となりました。
世代別にみる、所有意識や消費行動の違い
バブル世代(18.6%)の約2.8倍となる51.5%のZ世代が「自らの持ち物は現金化しやすい」と回答
保有・利用しているモノは手軽に売買ができ、現金化しやすいモノだと思うかを質問したところ、「とてもそう思う」が2.1%、「そう思う」が7.9%、「ややそう思う」が20.3%、合計30.3%が「そう思う」と回答しました。世代別にみると、Z世代は合計51.5%、ミレニアル世代は合計34.9%、バブル世代は合計18.6%となり、Z世代はバブル世代と比べて約2.8倍「自らの持ち物は現金化しやすい」と考えていることがわかりました。
38.8%が「持ち物を売ってから、欲しいモノを買う経験がある」と回答
世代別にみると、ミレニアル世代が最も高い48.1%
欲しいモノを購入する際、保有しているモノを売ってから欲しいモノを購入することがあるかを質問したところ、「よくある」が4.8%、「たまにある」が34.0%、合計38.8%があると回答しました。世代別にみると、Z世代が合計46.6%、ミレニアル世代が合計48.1%、バブル世代が合計26.8%となり、ミレニアル世代が最も高い結果となりました。
25.9%が「持ち物を売れば買えるという想定で、売る前に欲しいモノを買う経験がある」と回答
世代別にみると、Z世代が最も高い42.7%
保有しているモノを売れば欲しいモノが買えるという想定で、売る前に欲しいモノを購入することがあるかを質問したところ、「よくある」が5.2%、「たまにある」が20.7%、合計25.9%があると回答しました。世代別にみると、Z世代が合計42.7%、ミレニアル世代が合計28.4%、バブル世代が合計15.5%となり、Z世代が最も高い結果となりました。
Z世代が「売ってから買う」または「持ち物を売る想定で、売る前に買う」モノは「アパレル」と「アイドル・アーティスト・キャラクター等の推し活関連商品」が同率1位
「保有しているモノを売ってから欲しいモノを購入することがある」または「保有しているモノを売れば欲しいモノが買えるという想定で、売る前に欲しいモノを購入することがある」と回答した458名に対し、その際に購入したモノは何かを質問したところ、Z世代の場合は「アパレル」と「推し活関連商品」が28.1%で最も多い結果となりました。
Z世代の資産認識
Z世代が“資産”としてみているモノTOP3は、1位「金融商品」2位「ゴールド・宝石」3位「不動産」
他の世代と比べてZ世代が“資産”としてみている傾向が強いモノTOP3は、1位「暗号資産」2位「アクセサリー」3位「靴・スニーカー」
保有・利用していることを想定した上で、資産としても認識できるモノを質問したところ、Z世代が他世代と比較して資産としてみている傾向が強い保有物TOP3は、1位「暗号資産」(Z世代とZ世代以外の差7.6%)、2位「アクセサリー」(Z世代とZ世代以外の差5.5%)、3位「靴・スニーカー」(Z世代とZ世代以外の差4.5%)でした。