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2020.8.31
プレスリリース

メルカリ総合研究所、博報堂生活総合研究所との 「フリマアプリ取引構造の実態分析」に関する共同研究を発表

メルカリ内商品カテゴリーの47.5%に、上下年齢間でモノが循環する構造
27.0%が、年下から年上へ循環する「逆おさがり型」

野球ボールは部活引退後の高校球児から野球を始める子どもを持つ親世代へ

メルカリ総合研究所(運営:株式会社メルカリ)は、博報堂生活総合研究所と共同で、「フリマアプリ取引構造の実態分析」に関する研究を実施しました。

2020年7月に経済産業省が発表した「電子商取引に関する市場調査」※1によると、CtoC取引市場の規模は約1兆7,407億円と推計され、前年比較で9.5%拡大しています。また、この市場規模拡大にはフリマアプリの成長が寄与しているとされ、現在ではフリマアプリ登場初期にフリマアプリ市場の拡大を牽引した10代〜30代女性ユーザーだけでなく、男性・高齢者ユーザーが増加傾向にあり、消費者の間でフリマアプリが浸透し始めていると述べられています。

そこで、メルカリ総合研究所と博報堂生活総合研究所は、様々な年齢・性別の方が利用しているフリマアプリの中で、どのような取引構造が生まれ、どのようにモノが循環しているのかを明らかにすべく、2019年のメルカリ取引データから、商品カテゴリー毎に出品者・購入者の年齢分布を分析しました。
※1:出典「令和元年度 内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(電子商取引に関する市場調査)」(経済産業省)https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/statistics/outlook/ie_outlook.html


【分析結果サマリー】

1)メルカリ内で取引される商品カテゴリーのうち、
38.0%が、出品者・購入者の平均年齢が一致する「年齢一致型」
27.0%が、年下から年上への「逆おさがり型」
20.5%が、年上から年下への「おさがり型」

2)年上から年下へ、「おさがり型」商品カテゴリー

「ダーツ」「美顔ローラー」は、ミレニアル世代からZ世代へ
「フィルムカメラ」は、全年代からZ世代へ
「スケートボード」は、ストリートブーム世代間で取引されつつ、Z世代にも継承

3)年下から年上へ、「逆おさがり型」商品カテゴリー

「コーヒー」などの嗜好性飲料、「ドライブレコーダー」などの安心ツール、
「入浴剤」などの“温もり”関連商品は、30代から40代・50代へ
「練習機器(野球)」は、高校球児から野球を始める子どもを持つ親・指導者世代へ

4)「年齢一致型」商品カテゴリー

「バッジ(アニメ・コミックグッズ)」など趣味性の高い商品カテゴリーは、出品者・購入者の年齢分布が一致
「スニーカー」など一部のメンズファッションは、二山の形で出品者・購入者の年齢分布が一致


【調査コメント:株式会社博報堂 博報堂生活総合研究所 上席研究員 酒井 崇匡 氏】

プロフィール

2005年博報堂入社。マーケティングプラナーを経て2012年より現職。デジタル空間上のビッグデータをエスノグラフィ(行動観察)の視点で分析する、生活者研究の新しいアプローチ「デジノグラフィ」を推進中。検索クエリや位置情報、購買履歴、SNSに投稿された生声など、膨大な生活者の行動データを元にした発見と洞察を行っている。著書に『自分のデータは自分で使う マイビッグデータの衝撃』(星海者新書)がある。

コメント

フリマアプリなど個人間取引の発達により、モノの消費スタイルは、新品で買った人のなかだけで使いつくされ“消える”(捨てられる)形から、他の誰かの新たな消費に“つながる”形に、多くの商品カテゴリーでシフトしつつあります。本分析では、フリマアプリ上で生活者が具体的にどんなモノを、どんな人生のタイミングで融通しあっているのか、実態の可視化を試みました。
自分に必要がなくなったモノを次に必要としている人へ、という考え方にたつとイメージされるのは、年上の出品者から年下の購入者へ「おさがり」するモノの流れです。本分析では、育児用品などだけでなく、美容ツールやアナログなフィルムカメラ、あるいはストリート文化なども上世代からZ世代の若者へ受け継がれていることが明らかになりました。
また、実はそんな「おさがり型」よりも、年下の出品者から年上の購入者へモノが「逆おさがり」する商品カテゴリーの方が多い、という意外な発見もありました。ドライブレコーダーのような新しいツールが下世代から上世代に拡められていたり、野球のボールなどスポーツ用品が部活を引退した高校生から親・指導者世代へと受け継がれていたりするなど、個々の例を見ても生活者間の消費の対流の多様性を伺い知ることができます。
また、分類としては該当する商品カテゴリー数が最も多かったのは、出品者・購入者の平均年齢が一致する「年齢一致型」でした。アニメなど趣味性の高い商品カテゴリーを中心に、スニーカーなどメンズファッションでも購入者・出品者の年齢分布に二山がある形で一致が見られました。
生活スタイルの多様化で、リアルな交友関係での従来型の「おさがり」は起こりにくくなっています。フリマアプリはそれを補完し、更に従来にない新しいものの対流を生み出していることが本分析で示されました。フリマアプリは単にモノが生活者間を行き来する場というだけでなく、年齢の上下双方向にモノが「おさがり」したり、「逆おさがり」することで、新しい生活スタイルや文化が広がり、継承される場にもなっているといえるでしょう。

【分析概要】
分析対象データ:2019年1月から12月における「メルカリ」内の取引データから出品者・購入者双方の性年齢・居住する都道府県が判別可能な取引を抽出
分析手法:全1,199の商品カテゴリーにおける年齢毎の出品者・購入者数を集計し、年齢分布を分析

本件は、メルカリ総合研究所が、博報堂生活総合研究所へ生活者間の取引構造の研究目的に、匿名化したデータを提供し、博報堂生活総合研究所と共同で分析を行ったものになります。


フリマアプリ取引構造の実態分析 分析結果詳細

分類の定義

本研究では、「メルカリ」で取引されている全1,199商品カテゴリーの出品者・購入者年齢分布を分析しました。そして、取引の傾向から商品カテゴリーを3つに分類し、その割合を抽出しています。本リリースに記載する3つの分類、「おさがり型」「逆おさがり型」「年齢一致型」の定義は以下の通りとなります。

・年上から年下への「おさがり型」商品カテゴリーの定義

出品者の平均年齢が購入者の平均年齢より1.0歳以上高い商品カテゴリーを指します。

・年下から年上への「逆おさがり型」商品カテゴリーの定義

出品者の平均年齢が購入者の平均年齢より1.0歳以上低い商品カテゴリーを指します。

・出品者・購入者の平均年齢が一致する「年齢一致型」商品カテゴリーの定義

出品者と購入者の平均年齢の差が1.0歳未満の商品カテゴリーを指します。

参考)「おさがり型」商品カテゴリー例「ベビーカー」の年齢分布


「ベビーカー」は、「おさがり型」商品カテゴリーの例となります。出品者の平均年齢は36.5歳、購入者の平均年齢は34.3歳となっており、上図からも出品者の年齢が購入者より高い傾向がわかります。特定の親世代にとって、子どもの成長などに伴い不要になったモノが、必要となる新たな親世代に継承されていく様子が伺えます。
※:グラフ縦軸は、出品者/購入者に占める構成比を示し、グラフ横軸は年齢を示しています。


1)メルカリ内で取引される商品カテゴリーのうち、
38.0%が、出品者・購入者の平均年齢が一致する「年齢一致型」
27.0%が、年下から年上への「逆おさがり型」
20.5%が、年上から年下への「おさがり型」

メルカリで取引される全1,199商品カテゴリーの出品者・購入者年齢分布を分析したところ、38.0%が「年齢一致型」、27.0%が「逆おさがり型」、20.5%が「おさがり型」であることがわかりました。
また、「逆おさがり型」と「おさがり型」を合わせると、47.5%が、上下の年齢間でモノが継承される構造を持った商品カテゴリーであることがわかりました。
(出品者・購入者のいずれかが1,000人未満の商品カテゴリーは「その他」に分類しています。)

2)年上から年下へ、「おさがり型」商品カテゴリー

「おさがり型」の傾向を示す商品カテゴリーの中でも、上世代から20歳前後、Z世代の若者に文化が継承されている「ダーツ」「美顔ローラー」「フィルムカメラ」「スケートボード」を例示します。

・「ダーツ」「美顔ローラー」はミレニアル世代からZ世代へ

「ダーツ」の場合、出品者の平均年齢は33.3歳、購入者の平均年齢は30.4歳となります。また、下図より、出品者は20代後半から30代、購入者は20代前半を山として分布していることがわかります。
「ダーツ」の他に、「麻雀」なども同様の年齢分布を示しています。共に男性の取引者が多い商品カテゴリーですが、成人したばかりのZ世代(90年代半ば以降生まれ)に、年上のミレニアル世代(80年代~90年代前半生まれ)からオトナの文化が継承されている様子が伺えます。

「美顔ローラー」の場合、出品者の平均年齢は38.4歳、購入者の平均年齢は33.9歳となります。また、下図より、出品者は30代、購入者は10代後半から20代前半を山として分布していることがわかります。
同様の年齢分布を「体重計」なども示しており、共に女性の取引者が多い商品カテゴリーです。美容に目覚めた20歳前後のZ世代に、ミレニアル世代からツールが受け継がれている様子が見て取れます。

・「フィルムカメラ」は全年代からZ世代へ

「フィルムカメラ」の場合、出品者の平均年齢は39.2歳、購入者の平均年齢は32.2歳となります。また、下図より、出品者は全年代にわたり満遍なく分布し、購入者は20歳前後の年齢が突出していることがわかります。
Z世代はスマホ、SNSネイティブである一方、フィルムカメラやカセットテープなど、敢えて画質や音質などのクリアさを抑えたアナログツールにも興味を示す世代です。このデータにもその傾向が表れているといえるでしょう。

・「スケートボード」は、ストリートブーム世代間で取引されつつ、Z世代にも継承

「スケートボード」の場合、出品者の平均年齢は36.1歳、購入者の平均年齢は32.4歳となります。また、下図より、出品者は30代後半から40代前半を山として分布していることがわかります。一方で、購入者は10代後半から20代前半、30代後半から40代前半と、2つの山が存在します。90年代のストリートブームの中でスケボーを楽しんだ世代が今でも同世代間で取引をしている一方、その文化はZ世代にも受け継がれていることがわかります。

3)年下から年上へ、「逆おさがり型」商品カテゴリー

「逆おさがり型」の傾向を示す商品カテゴリーを「コーヒー」「ドライブレコーダー」「入浴剤」「練習機器(野球)」で例示します。

・「コーヒー」などの嗜好性飲料、「ドライブレコーダー」などの安心ツール、「入浴剤」などの“温もり”は、30代から40代・50代へ

「コーヒー」の場合、出品者の平均年齢は38.8歳、購入者の平均年齢は43.7歳となります。また、下図より、出品者は30代、購入者は40代を山として分布していることがわかります。同様の年齢分布を「茶」など他の嗜好性飲料も示しており、贈答品などを自宅で使いきれない下の世代から、上の世代にモノが循環していることが伺えます。

「ドライブレコーダー」の場合、出品者の平均年齢は38.4歳、購入者の平均年齢は43.5歳となります。また、下図より、出品者は30代、購入者は40代後半から50代前半を山として分布していることがわかります。
同様の年齢分布を「防犯カメラ」など他の安心のためのツールも示しており、新しいツールに明るい下世代から上世代に拡められていることが伺えます。

「入浴剤」の場合、出品者の平均年齢は37.8歳、購入者の平均年齢は41.0歳となります。また、下図より、出品者は30代前半、購入者は40代前半を山として分布していることがわかります。
同様の年齢分布を「電気ヒーター」など他の”温もり”に関連する商品も示しています。
また、「乳液/ミルク」など他のコスメ系消費財カテゴリーにも「逆おさがり型」であるカテゴリーが多く存在します。

・「練習機器(野球)」は高校球児から野球を始める子どもを持つ親・指導者世代へ

主にボールが取引されている「練習機器(野球)」の場合、出品者の平均年齢は37.4歳、購入者の平均年齢は38.9歳となります。また、下図より、出品者は18歳に突出した山があり、40代後半にもう一つの山がある一方、購入者は40代前半を山として分布していることがわかります。
40代の近い世代間で取引がある一方、部活を引退した18歳の高校球児から、野球を始める子どもを持つ親や指導者の世代に「逆おさがり」していることが分かります。さらにいえば、親や指導者を介して、引退する高校球児から次の世代の球児にボールが受け継がれている、という流れも考えられるでしょう。

4)「年齢一致型」商品カテゴリー

「年齢一致型」の傾向を示す商品カテゴリーを「バッジ(アニメ・コミックグッズ)」「スニーカー」で例示します。

・「バッジ(アニメ・コミックグッズ)」など趣味性の高い商品カテゴリーは、出品者・購入者の年齢分布が一致

「バッジ(アニメ・コミックグッズ)」の場合、出品者の平均年齢は27.7歳、購入者の平均年齢は28.2歳となります。また、下図より、出品者・購入者の年齢分布が10代後半を山として、ほぼ一致していることがわかります。
その他にも、模型などおもちゃ・ホビー関連、釣りなどスポーツ・アウトドア関連といった趣味性の高い商品カテゴリーでは、出品者と購入者の年齢が一致するカテゴリーが多くありました。

・「スニーカー」など一部のメンズファッションは、二山の形で出品者・購入者の年齢分布が一致

「スニーカー」の場合、出品者の平均年齢は34.6歳、購入者の平均年齢は35.2歳となります。また、下図より、出品者・購入者ともに、10代後半から20代前半、30代後半と2つの山があることがわかります。
同様の年齢分布は、「ブルゾン(メンズ)」などの他のメンズファッションカテゴリーでも散見されました。

メルカリ総合研究所について

メルカリ総合研究所は、外部有識者とともに、フリマアプリの社会的影響から二次流通市場の可能性、その先にある循環型社会が未来にどのような影響をもたらすかを研究する組織です。社会・次世代消費・生活など、さまざまな視点から研究を行い、生活者の意識や行動の変化、次世代の「豊かさ」について新たな視点を見出していくための活動を行っています。
https://pj.mercari.com/souken/

博報堂生活総合研究所について

博報堂がコーポレートフィロソフィー「生活者発想」を具現化するため、1981年に設立。 生活者の価値観の変遷を時系列調査で追跡する、実験的な手法から未来への兆しを見出す、生活の現場へ飛び込み生活者と一緒に考える…など、生活者に対し多角的かつユニークな観点と、市場や業種の枠を越えた俯瞰的な立場で活動するシンクタンク。
https://seikatsusoken.jp/