株式会社メルカリは、メルカリグループが取り組む技術的な挑戦や、今後の技術戦略・体制について紹介する開発者向けの技術カンファレンス「Mercari Tech Conf 2018」を2018年10月4日(木)に六本木アカデミーヒルズにて開催しました。
今年で第2回目となる本カンファレンスでは、この1年間でメルカリグループ内に起こった、もしくは起こりつつある様々な「Evolution(変化)」をテーマとし、当日は500名以上の参加者を迎え、23のセッションが行われました。
当日のセッションより、メルカリグループの経営陣が登壇したオープニング・基調講演の一部を抜粋してご紹介します。
※当日のプレゼンテーション資料は下記SpeakerDeckにて公開されています。
https://speakerdeck.com/mercari
オープニング:株式会社メルカリ 取締役CPO 濱田優貴
オープニングに登壇した株式会社メルカリ 取締役CPOの濱田優貴からは、メルカリが目指す「テックカンパニー」の定義とそれに向けてのステップ、そしてメルカリが注力していくテクノロジー分野についてご紹介しました。
これまでのメルカリは、多くのお客さまに使っていただけるサービスにするために、UIやUXを磨いていく「プロダクトドリブン」で開発を進めていましたが、現在はマイクロサービス化やセキュリティの向上、プロダクトのグローバル化など「エンジニアリングドリブン」にしていくことで、プロダクトを差別化をしていく段階になっていると話しました。そして将来は、テクノロジーによって新しい技術自体を開発する「テックドリブン」の体制にしていくことで、今までになかった問題解決ができるようなテックカンパニーを目指していくと述べました。
「テックカンパニーとは何か」というテーマについて、濱田は以下のように考えていると述べました。ひとつは「テクノロジーで世の中を変えている」状態とし、例えば、GoogleではAI(人工知能)で今までにない検索体験を実現していること、そしてFacebookでは世界中の人とコンテンツを繋ぐためのテクノロジーを開発し世の中を変えていると話します。
そしてもうひとつは「開発者にも使われるテクノロジーを作る」ことです。例えば、先の例として上げたGoogleやFacebookのほか、Netflixも自社プロダクトを開発する傍らで、その過程で生まれたものを、オープンソースやサービスとして提供しています。「メルカリもそのように、開発者の方々に利用していただけるものを提供していきたい」と述べました。
濱田の発表資料(全文)は下記URLよりご覧いただけます。
https://speakerdeck.com/mercari/mtc-2018-opening-talk
キーノート
キーノートでは、株式会社メルカリ、株式会社メルペイ、Mercari US各社のCTO3名が登壇しました。
最初に登壇した株式会社メルカリ CTOの名村からは、テックカンパニーを目指す上でスケールするための組織戦略、そしてスケールするための技術戦略としてのマイクロサービス化について紹介しました。
現在、メルカリグループには約1,100名の社員が在籍しており、そのうち約350名がエンジニア(うち外国籍社員は約130名)です。人数が増える中で起こりがちな組織的課題に対し、「同じ思想で開発する」状態から「多様な思想で開発する」状態へと進化していくことが重要で、多様な思想を受け入れられる組織・技術の基盤を整え、開発思想のダイバーシティを目指していく必要があると話しました。
またメルカリの技術戦略の方向性のひとつとして「Micro Decision(決断の最小化)」を目指して、アーキテクチャとしてのマイクロサービス化を約1年前から積極的に進めていることを改めて紹介しました。
※マイクロサービスとは
システム・ソフトウエア開発のアーキテクチャスタイルで、個別に開発された小さなサービスを組み合わせて、一つのサービスを提供するものです。Amazon、Netflixといったテックジャイアントがすでに取り入れています。
名村の発表資料(全文)は下記URLよりご覧いただけます。
https://speakerdeck.com/mercari/mercari-tech-conf-2018-keynote-suguru-namura
次の、Mercari US CTO Mok Oh(モック・オー)のキーノートでは、US版メルカリの機械学習領域の取り組みについてご紹介しました。
Mokは、メルカリに入社する前はサムスン電子副社長(韓国、スウォン)を経験し、テック業界で20年を超える経験があります。マサチューセッツ工科大学で博士号を取得し、12の特許保持者でもあります。
出品者と購入者のデータを分析し、マッチングの予測をするための機械学習の活用例として、例えばシャツが好きな人は、靴が好きな可能性は78%だが、パソコンが好きな可能性は12%であるというデータの分析予測の例、そしてシャツが72時間以内に売れる可能性を分析し「このままだと売れにくいので画像を足すのはどう?」といったアドバイスを出品者に対して促すと売れる確率が上がるといった事例を紹介しました。
Mok Ohの発表資料(全文)は下記URLよりご覧いただけます。
https://speakerdeck.com/mercari/mercari-tech-conf-2018-keynote-mok-oh
株式会社メルペイ 取締役CTOの曾川からは「信用と価値交換について」をテーマに講演を行いました。
メルカリはこれまでフリマアプリ、マーケットプレイスとして多くのお客さまにご利用いただき、モノの流動性を生み出してきました。このモノの流動性が生み出したお金に注目し、メルペイではお金の流動性を高め「お金がなくても使えるようなメルカリ」を目指すと話しました。
また「mercari X」という、ブロックチェーン技術を用いた社内の実験プロジェクトの紹介も行いました。(mercari Xは、メルカリ社内のみで使えるコンセプトモデルで、一般公開は予定していません)
曾川の発表資料(全文)は下記URLよりご覧いただけます。
https://speakerdeck.com/mercari/mercari-tech-conf-2018-keynote-keisuke-sogawa
VRのライブ配信も実施
また、当日のオープニングとキーノートは、VRでライブ配信も行われました。バーチャルイベントサービス「cluster(クラスター)」内に特別スペースを設け、それぞれのアバターが登場し、VR空間上でもリアルタイムで講演が行われていました。
当日のVR配信の映像は、下記URLにて公開されています。
https://www.youtube.com/watch?v=pQel5vZfx38
メルカリは、今後も「新たな価値を生み出す世界的なマーケットプレイスを創る」というミッションを基に、テックカンパニーとして世界を目指し邁進していきます。