Z世代は想定外を失敗と捉える”サプライズアレルギー”世代
将来不安に備え、現状をできるだけ把握したいという特性が明らかに
〜クレジットカードの利用において、Z世代の半数以上がリアルタイムに利用を把握したい〜
メルカリ総合研究所(運営:メルカリ)は、18歳〜57歳の男女600人を対象に「Z世代の行動特性や価値観とクレジットカード利用に関する調査」を実施しました。
メルペイは、2022年11月より「メルカリ」の利⽤実績等で限度額が決まり、アプリで利⽤と管理が完結するクレジットカード「メルカード」の提供を開始いたしました。「メルカード」は、本⼈確認を完了しているお客さまであれば、「メルカリ」アプリから最短1分で申込みが完了し、国内外約3,900万か箇所のJCB加盟店で利⽤いただけます。また利⽤時の即時通知や利⽤履歴の確認等も「メルカリ」アプリ内で完結し、⽀払⽇や⽀払い⽅法も柔軟に選択できる、新しいクレジットカード体験を提供しています。
また、昨今、コロナ禍でのオンラインでの消費機会の拡大により、家計におけるネットショッピング利用世帯の割合は2021年に初めて過半数(52.7%)を超えました。同様に、キャッシュレス決済の利用も拡大しており、2022年は初めて100兆円超の水準となっており、支払手段としてのクレジットカードの利用ニーズは拡大する一途をたどっています。※
今回、こういった背景から、各世代の行動特性とクレジットカードに求めるニーズを紐解くため「Z世代の行動特性や価値観とクレジットカード利用に関する調査」を実施いたしました。
本調査結果から、Z世代は上の世代に比べ、プレゼントやデリバリーも含めた「想定外」を、失敗やストレスと捉えやすい”サプライズアレルギー”を持つ傾向が浮き彫りになりました。特にバブル世代との比較では、「想定外」を失敗と捉える傾向が1.5倍にも。また「想定外」に備え、事前に情報を効率よく把握したい(=「タイパ(タイムパフォーマンス)」)と考える状況も明らかになりました。
一方で、クレジットカードについては、Z世代の半数以上が、リアルタイムに利用明細を把握したいと回答。また、クレジットカードに求めるニーズでは、バブル世代が「お得」を重視するのに対し、Z世代は「安心感」や「使いすぎ防止」を重視する傾向に。今後に向けては、アプリ上での管理をはじめ、将来的な不測の事態(サプライズ)に備え、自身で利用を管理・把握したいとの心理も伺える結果となりました。
※:ネットショッピング利用世帯の割合「家計消費状況調査(総務省)/https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&toukei=00200565&tstat=000000660001」
キャッシュレス決済利用金額「経済産業省/https://www.meti.go.jp/press/2023/04/20230406002/20230406002.html」
【結果サマリー】
1)時間や透明性に関する考え方
2)想定外のことに関する考え方や将来への備え
3)クレジットカードに求めるニーズ 現在利用しているクレジットカードについて
クレジットカード利用する際の懸念
利用したいクレジットカードの特長
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【調査概要】
- 調査時期:2023年3月10日(金)~3月12日(日)
- 調査方法:インターネット調査
- 調査対象:全国、18〜57歳、男女600名
- 調査機関:シグナルリサーチ
※グラフ内の数値は小数点第二位以下四捨五入
[4/17 14:30 Update] 調査対象について18〜59歳となっていましたが、18〜57歳に訂正いたしました。
世代・トレンド評論家 牛窪 恵氏(うしくぼめぐみ)
・プロフィール
世代・トレンド評論家。マーケティング会社・インフィニティ代表取締役。立教大学大学院・客員教授(消費者行動論)。
立教大学大学院にて、修士(経営管理学/MBA)取得。内閣官房、経産省、財務省等の委員会、研究会メンバーも数多く務める。トレンドやマーケティング関連の著書多数。著書を通じて世に広めた「おひとりさま(マーケット)」(05年)、「草食系(男子)」(09年)は、新語・流行語大賞に最終ノミネートされる。
NHK総合「サタデーウオッチ9」、フジテレビ「ホンマでっか!?TV」、毎日放送「よんチャンTV」などで、レギュラーコメンテーター等としても活躍中。
近著は、コロナ禍でZ世代の若者を取材、分析した「若者たちのニューノーマル―Z世代、コロナ禍を生きる」(日経BP)
・コメント
今回の調査の主役「Z世代(本リリースでの定義は現在18歳〜26歳)」は、物心ついたときから目立った経済成長はなく、同時多発テロ(2001年)やリーマンショック(08年)、東日本大震災(12年)、そして新型コロナウイルス(20年~)と次々と不測の事態に見舞われてきました。だからこそ「想定外(サプライズ)=良くないこと」と捉えやすい一方で、不測の事態は「いつ起こるか分からない」ゆえに、いざというときに備えて防御したい、と賢く考えています。
今回の調査でも、その傾向が見てとれました。たとえば「プレゼントは先に相手に欲しい物を聞いて購入する(51.3%)」「デリバリーは配達状況を見て、いつ到着するか確認する(51.3%)」、そして「結論だけ先に知りたい(57.3%)」など、半数以上が「想定外」を好まず、結論を先に知りたがっていました。また「想定外」を失敗と捉える傾向も、バブル世代より1.5倍も高い状況に。
まさに、Z世代は“サプライズアレルギー”を持つ世代、と言えるでしょう。
また、臨時収入があったときも手放しで喜んだりはせず、他世代に比べ最も多い約8割(77.3%)が「貯金する」と答えました。その約半数が「緊急時の備えができる/将来の不安に備えるため」と回答するなど、「想定外」に備えて事前にきちんと蓄えるZ世代の傾向が明らかに。
そもそもZ世代は、デジタルネイティブなうえ、SNS&動画世代とも言われます。早い人では4、5歳からスマートフォンをいじっており、日常生活の多くを、スマホのアプリで効率よく管理するのが大きな特徴。金銭的な効率(コスパ)はもちろん、時間効率も重視するため、昨年の流行語「タイパ(タイムパフォーマンス/時間帯効果)」を強く意識する傾向があります。
ゆえに、SNSで口コミ情報を得て効率よく情報を取捨選択したり、自分がすべきことをToDoアプリで管理したり、将来の健康不安に備えて睡眠や摂取カロリーを専用アプリで管理したりと、多くを「見える化」してスピーディに管理・把握したいという思いが強いのも特徴です。
今回驚きだったのは、こうした堅実で効率的な価値観が、既に金融サービスにも現れ始めているということです。たとえば「クレジットカード」の利用ニーズ。バブル世代が「お得かどうか」を重視するのに対し、Z世代は事前に評判を確認するなど「安心感」を重視することが分かりました。
また今後に向けては、アプリ上での利用管理や柔軟な支払い方法、利用上限額の設定など、自身で利用を管理・把握することで、将来起こり得る不測の事態(サプライズ)に備えたいとする、Z世代らしい賢いニーズが浮き彫りになりました。
調査結果詳細
1)時間や透明性に関する考え方
○Z世代は効率的でないことや「想定外」なことを避ける”サプライズアレルギー”を持つ世代
Z世代の時間や透明性に関する考え方を聞いたところ、上位は、同率1位で「効率的でないことにストレスを感じる(63.3%)」、「時間を圧縮するための手段・行動を考えることが多い(63.3%)」、2位は「想定外のこと/サプライズなことはできるだけ避けたい(61.4%)」という結果に。
また、半数以上が「結論だけ先に知りたい(57.3%)」、「デリバリーは配達状況を見て、いつ到着するか確認する(51.3%)」、「プレゼントは先に相手に欲しい物を聞いて購入する(51.3%)」などタイパ重視や“サプライズアレルギー”の傾向が見てとれた。
2)「想定外」のことに関する考え方や将来への備え
○「想定外」なことは失敗と捉えるZ世代
「想定外」のことが起こるのは「失敗」だと捉えるか「経験」だと捉えるかを聞いたところ、Z世代は30.0%が失敗と捉えるのに対し、バブル世代は21.3%という結果であり、Z世代の方が1.5倍も「想定外」なことが起こることを失敗として捉える傾向に。
○Z世代の約8割が、臨時収入は将来不安に備えて貯金を選択
現金50万円をもらったらどう扱うかを聞いたところ、どの世代も「貯金する」が最も高い結果になりましたが、その中でもZ世代が最も高く約8割(77.3%)が貯金すると回答している。また、その理由として回答者の約半数が「緊急時の備えができる/将来の不安に備えるため」と将来不安への備えとして貯金すると回答しており、想定外に備えるZ世代の傾向が明らかに。
一方で、月々の支出額を把握しているかという問いについては、バブル世代は86.6%が把握していると回答する一方で、Z世代は72.0%と相対的に把握できていない傾向に。
3)クレジットカードに求めるニーズ
現在利用しているクレジットカードについて
○現在使っているクレジットカードを選ぶ理由はお得さ
現在メインで利用しているクレジットカードの選択理由については、全世代では、上位から、「ポイントの還元率が高いから(43.2%)」、「年会費が安い/かからないから(41.7%)」とお得かどうかが選択理由の上位に。
○バブル世代はお得で選択する一方、Z世代は安心で選択する傾向に
お得で選択する傾向は、バブル世代が特に顕著で、「年会費が安い/かからないから(51.2%)」、「ポイントの還元率が高いから(44.9%)」という回答。
一方で、Z世代は、「ポイントの還元率が高いからは約4割(41.4%)」と高いものの、バブル世代と比較すると、「家族や友人に勧められたから」、「専門家やインフルエンサーが勧めていたから」、「カードの名前を聞いたことがあったから」等が比較的高く出ており、きちんと知っている/理解しているサービスで安心できるものを選択する傾向に。
クレジットカード利用する際の懸念
○バブル世代はセキュリティ面を懸念する一方、Z世代は利用と管理に対する懸念を持つ
クレジットカードの懸念点を聞いたところ、バブル世代は、「失くしたときの対処に手間がかかる(29.1%)」、「セキュリティに不安がある(26.0%)」とセキュリティ面が上位であったが、Z世代は、「つい使い過ぎてしまう(32.3%)」と「決済後に利用明細の反映に時間がかかる(27.3%)」がそれぞれ約3割と上位であり、利用と管理ができないことへの懸念が大きい傾向に。
○Z世代はリアルタイムに利用明細を把握したい
また、利用明細がリアルタイムに把握できないことについて、ストレスや不安を感じるという回答がZ世代は約半数(51.5%)であったのに対し、バブル世代は41.0%と、Z世代の方がリアルタイムに管理・把握したいという傾向を示した。
利用したいクレジットカードの特長
○Z世代はクレジットカードに利用の管理や把握できることを求める傾向に
利用したいクレジットカードの特長としてZ世代とバブル世代で意識の差が大きい項目を見たところ、「よく使うアプリで使える・管理できる(Z世代72.0%:バブル世代54.7%)」、「支払い方の柔軟性が高い(Z世代74.0%:バブル世代56.0%)」、「利用上限金額を自分で設定できる(Z世代70.7%:バブル世代61.3%)」など、自身で利用を管理しやすいかどうかという点が多く、Z世代の方が管理・把握したいというニーズがあることが伺える結果に。