2019.4.25
プレスリリース

2019年度「フリマアプリ利用者と非利用者の消費行動」に関する意識調査

フリマアプリ利用者の約3割が「新品の商品購入単価が上がった」

非利用者「中古品への抵抗感」約5割、「新品へのこだわり」は約3割と昨年より減少

株式会社メルカリは、慶應義塾大学大学院経営管理研究科の山本晶准教授監修の下、全国のフリマアプリ利用者と非利用者1,000名を対象に、昨年4月に続き「2019年度フリマアプリ利用者と非利用者の消費行動に関する意識調査」を実施しました。

経済産業省が昨年4月に発表した「平成29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」によると、2017年のフリマアプリ推定市場規模は4,835億円、前年比58.4%と急激な成長を遂げています。市場の成長に伴い生まれる、モノの「売買」や「リユース」の意識は、消費者の意識・行動にも変化を及ぼしており、メルカリにて実施した昨年調査では、モノに対する意識は所有から利用へと変化し、商品購入時の選択基準として、価格・品質に加え「再販売価格」が重視されているなど新たな傾向が明らかになりました。

この度の調査では、昨年の調査から1年を経て、消費者意識や行動はどのように変化したのかを明らかにすべく、2度目となる「2019年度フリマアプリ利用者と非利用者の消費行動に関する意識調査」を実施しました。

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【結果サマリー】
1.モノ(新品・中古品)に関する意識
■フリマアプリ利用・非利用問わず中古品への抵抗感が減少傾向に。フリマアプリ非利用者の中古品への抵抗感は昨年対比6.2%減少。利用者においても昨年対比2.1%減少。
■フリマアプリ利用・非利用者を問わず、購入する商品は新品であることを重視する割合が減少。非利用者は昨年対比5.0%減少。利用者は昨年対比2.1%減少。特に50代・60代は昨年対比5.0%減少と変化が最も顕著に。

2.フリマアプリ利用者と非利用者の消費行動の差異
■まだ使える不要品の取り扱いについて最も多い回答、フリマアプリ利用者は不要品を「売る」が75.6%、非利用者は「保管」が56.8%。

3.フリマアプリ利用者の消費行動
■フリマアプリ利用者において、「新品購入の際リセールバリューを考えるようになった」割合は、昨年対比9.7%増加。売ることを前提にした買い物意識が拡大。
■フリマアプリ利用の影響で、利用者の28%が「新品の商品購入単価が上がった」と回答。
■「中古品の購入機会が増えた」、50代フリマアプリ利用者において昨年対比22.4%増加。60代利用者でも11.2%増加し、中高年層で中古品購入機会が増加傾向。
■フリマアプリ利用者において、「新品で購入したものを数回使ってフリマアプリで売った」ことがある割合は昨年対比7.3%増加。「新品で購入したものを1回使ってフリマアプリで売った」ことがある割合は昨年対比7.6%増加。これらの回答は20代・30代の若年層で顕著に。若年層で必要な時だけモノを利用し、利用し終わったら売る「ワンショット消費」の傾向が拡大。

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【調査監修:慶應義塾大学大学院経営管理研究科 山本 晶 准教授】
■プロフィール
1996年慶應義塾大学法学部政治学科卒業。外資系広告代理店勤務を経て、2001年東京大学大学院経済学研究科修士課程修了。2004年同大学院博士課程修了。博士(経済学)。東京大学大学院助手、成蹊大学経済学部専任講師および准教授を経て、2014年4月より慶應義塾大学大学院経営管理研究科准教授。専門はマーケティングで、主に対人影響の研究に従事。日本マーケティング・サイエンス学会、日本消費者行動研究学会、日本マーケティング学会(常任理事)、日本商業学会、INFORMS、AMAの各会員。主著に『キーパーソン・マーケティング: なぜ、あの人のクチコミは影響力があるのか』(東洋経済新報社、2014年)。

【コメント】
フリマアプリの登場は、消費者の行動に大きな変化をもたらしています。2018年4月の前回調査では、新品・中古にこだわらず欲しいものを手に入れ、消費した後は別の消費者に販売するという消費スタイルが若い世代を中心に増加していることが明らかになりました。今回の調査では、若い世代で顕著であったこの消費スタイルが、50代、60代にも広がったことを示しています。消費者は生きてきた人生の長さに比例してモノを消費し自宅に保有していると考えると、50代、60代がフリマアプリなどに出品する「在庫」は潜在的に他の世代よりも大きいと考えらえます。当初は若い世代から普及したフリマアプリは、50、60代の消費者にも広がり、彼らの生活を変えています。中古品を購入する機会が増えた理由として、「中古品を購入する場(ツール)の増加」を挙げた回答者が60代で多かったのは、こうしたツールが簡単で使いやすく、利用のハードルが低いことも一因でしょう。
フリマアプリの普及は、中古品への抵抗感を低減させ、オンライン・オフラインの場を問わず中古品の購入を後押ししています。実際、フリマアプリ利用者の約6割が中古品の購入が増えたと回答しています。
また、「不要品は捨てるより売る」、という価値観の広がりは、中古品だけでなく、新品の購買行動をも変えています。新品の購入で迷ったときに、「リセールバリューを考える」といった行動が増加しています。さらに、フリマアプリの利用によって、新品の購入単価が上がったと回答した消費者が約3割存在することも見逃せません。一般的に中古品の普及は新品を販売する企業にとっては競争の激化を意味しビジネス上の脅威と考えられますが、フリマアプリの普及は新品購入を後押しする可能性があることも今回の調査から明らかになりました。

【調査概要】
調査時期 :2019年4月3日(水)~5日(金)
調査方法 :インターネット調査
調査対象 :全国、20~69歳、男女1,000名
     (フリマアプリ利用者500名、フリマアプリ非利用者500名)
留意事項 :2018年調査と2019年調査におけるフリマアプリ利用者定義の違いについて
2019年調査における「フリマアプリ利用者」の定義は、フリマアプリでの購入経験、販売経験、その両方を持つ、としています。一方、2018年調査では「主に閲覧」のフリマアプリ利用者が含まれるため、「主に閲覧」利用者(207名)を除き、定義を統一して昨年との比較を行っています。

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1、モノ(新品・中古品)に関する意識

■中古品の購入・使用に対する抵抗感が昨年調査より減少
フリマアプリ利用者・非利用者両方に中古品の購入・使用に対する抵抗感を聞いたところ、55.5%が「抵抗を感じない」と回答、44.5%が「抵抗を感じる」と回答しました。

非利用者は、55.6%が「抵抗を感じる」と回答。昨年と比較し中古品への抵抗感が6.2%減少していることがわかりました。

また、利用者においても33.4%が「抵抗を感じる」と回答。昨年と比較し中古品への抵抗感が2.1%減少していることから、フリマアプリ利用・非利用を問わず、中古品に対する抵抗感が減少していることが明らかになりました。

■商品を購入する際、新品であることへのこだわりが減少
フリマアプリ利用者・非利用者両方に、商品購入の際に重視することを聞いたところ、「新品であることを重視」と回答した割合は全体で27.3%であることがわかりました。

フリマアプリ非利用者における「新品であることを重視」と回答した割合は28.4%。特に50代・60代の変化が大きく、昨年と比較すると、それぞれ5.0%減少していることがわかりました。

利用者で「新品であることを重視」と回答した割合は26.2%。こちらも50代・60代の変化が大きく、昨年と比較し50代で11.0%減少、60代で9.9%減少しています。
これらのことからフリマアプリ利用・非利用を問わず、新品に対するこだわりが減少しており、特に50代・60代の変化が顕著であることがわかりました。

2、フリマアプリ利用者・非利用者の消費行動の差異

■まだ使える不要品、利用者は「売る」非利用者は「保管」
フリマアプリ利用者・非利用者別に、不要品の扱い方について聞いたところ、利用者は、不要品を「売る」という回答が最も多く75.6%、次いで「譲る」が63.6%。一方で非利用者の場合は、不要品を「保管しておく」という回答が最も多く56.8%、次いで「捨てる」が42.4%。利用者のほうが不要品を捨てずに循環する傾向が明らかになりました。


※2019年のみ新規で実施した調査

3、フリマアプリ利用者の消費行動

■“売る前提の買い物“意識がより顕著に
フリマアプリ利用者に対し、消費に関する意識を聞いたところ、「新品を購入するときにリセールバリューを考えるようになった」と回答した割合は60.6%で昨年と比較し9.7%増加しており、売ることを前提に買い物をするという意識が拡がっています。

■約30%が「新品の商品購入単価が上がった」
フリマアプリ利用者に対して、フリマアプリの利用による新商品の購入単価の変化について聞いたところ、28.0%が購入単価が上がったと回答しています。


※2019年のみ新規で実施した調査

購入単価が上がったカテゴリーについて聞いたところ、最も多かった回答が「洋服・靴・カバン」で55.0%、次いで「エンタメ・ホビー」で27.1%、「家電・スマホ・カメラ」・「インテリア・住まい・小物」で26.4%という結果となりました。


※2019年のみ新規で実施した調査

■中高年層で中古品購入機会が増加
フリマアプリ利用者に対し、ここ2〜3年でインターネットや店頭における中古品購入頻度について聞いたところ、「増えた」と回答した割合は63.0%で昨年と比較し8.8%増加。特に50代は昨年と比較し22.4%、60代は11.2%増加。中高年層での中古品購入機会が増加していることがわかりました。
また、非利用者では「増えた」と回答した割合は12.0%にとどまり、「増えていない」と回答した割合は88.0%になることがわかりました。

中古品購入機会が増えた理由を聞いたところ、50代は「中古品の質があがったから」、60代は「中古品を購入する場(ツール)などが増えたから」の回答が他の年代よりも多い傾向となりました。

■若年層で“新品を購入し、利用したら売る”ワンショット消費が増加
フリマアプリ利用者に対し、フリマアプリ利用後の購買行動の変化について聞いたところ、「新品で購入したものを数回使ってフリマアプリで売った経験がある」と回答した割合は71.2%で、昨年と比較し7.3%増加しています。また、「新品で購入したものを、1回だけ使ってフリマアプリで売った経験がある」と回答したのは62.2%で、昨年と比較し7.6%増加しています。

年代別にみると、「新品で購入したものを数回使ってフリマアプリで売った経験がある」割合が最も多いのは30代で83.0%、次に20代で77.0%、「新品で購入したものを1回使ってフリマアプリで売った経験がある」割合が最も多いのは30代で71.0%、20代で70.0%となり、若年層を中心に、新品で購入し必要な時だけ利用して売る「ワンショット消費」の傾向が顕著にあらわれており、モノを「所有する」という感覚から「利用する」へと変化していることが推測されます。